生成AI導入の「踊り場」をどう越えるか 三機工業のAI活用|Lightblue Boot Camp in 鎌倉 開催レポート

生成AIを「導入して終わり」にしないための、実践型イベント

Lightblue Boot Camp in 鎌倉

企業で生成AIの導入が進む一方、多くの現場では「使われない」「業務に組み込まれない」「個人利用にとどまる」という課題に向き合う場として2026年3月6日〜7日に神奈川県鎌倉市・鎌倉プリンスホテルで開催されたLightblue主催のイベントです。参加企業は16社24名。製造業を中心に多様な業種のAI推進担当者が集まり、それぞれの課題と向き合いました。本記事では生成AI活用を推進する三機工業株式会社様によるセッション内容をお届けします。

生成AIを導入したものの、現場で使われない—。多くの企業が直面しているこの問題に対し、三機工業株式会社様(以下、三機工業)の事例は重要な示唆を与えています。同社では社員の約60%にAIアカウントを配布しながらも、利用率は約35%にとどまっていました。導入は進んだが定着しない状態、いわゆる「踊り場」をどう乗り越えるのか。本記事では、その原因と具体的な打ち手を整理します。

AI導入後に生まれる「踊り場」

AIツールの導入自体は、比較的スムーズに進むケースが増えています。しかしその後、利用率が一定水準で止まり、組織全体に広がらないフェーズに入る企業が多く存在します。この状態が「踊り場」です。

三機工業でも同様の状況が発生しました。社員の約6割にアカウントを配布したものの、実際の利用率は約35%にとどまっていたのです。アカウントはあるが使われない。このギャップは、多くの企業に共通する課題といえます。

原因は「使い方」ではなく「不安」

利用率が伸びない理由を分析した結果、明らかになったのは「使い方の問題ではない」という事実でした。現場からは次のような声が上がっていました。

・セキュリティが不安で、どこまで使っていいか分からない
・入力したデータが外部に漏れるのではないか
・AIの回答が正しいか信頼できない

つまり、社員はAIを使えないのではなく、使うことに不安を感じていたのです。メリットは理解しているが、リスクが不明確なために踏み出せない。この状態では、どれだけ機能が優れていても活用は進みません。

ルール整備と組織体制による解決

三機工業では、この「不安」を解消するために、技術ではなく組織の側からアプローチしました。

まず、AIに入力してよい情報と禁止事項を明確にし、利用ルールを整備しました。次に法務部門と連携し、契約やセキュリティの観点からガイドラインを策定しました。さらに、各部門にDX推進担当を配置し、現場の疑問や不安に迅速に対応できる体制を構築しました。

これらの取り組みによって、「何をしてよいか分からない」という状態が解消され、安心してAIを使える環境が整い始めました。

AI活用は「環境」で決まる

この事例が示しているのは、AI活用の成否はツールの性能だけでは決まらないということです。どれだけ優れたAIを導入しても、安心して使える環境が整っていなければ利用は広がりません。

特に大企業では、セキュリティやコンプライアンスへの配慮が不可欠です。そのため、技術導入と同時に、ルール・体制・教育といった環境整備が求められます。

利用率が伸びない理由は、ツールの問題ではなく「安心して使える仕組みが整っているか」という点にある。この視点は、多くの企業にとって重要な示唆となります。

「導入」から「定着」への現実的な道筋

三機工業では現在も、法務部門や情報システム部門など各部門が連携しながら、継続的な改善を進めています。AI活用を一気に広げるのではなく、現場の不安を一つずつ解消しながら、段階的に定着させていくアプローチです。

生成AI活用は、導入した瞬間に成果が出るものではありません。むしろ、導入後にどのように組織に根付かせるかが本質です。三機工業の取り組みはAI活用の「踊り場」を越えるための現実的なプロセスを示す事例といえます。


【レポート】Lightblue Boot Camp in 鎌倉

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