エクセディ、AIエージェント「Lightblue」を全社500ID規模で本格展開 〜基幹事業の「稼ぐ力」を磨き、その力を新事業創出へ〜
部門横断の推進体制が始動し、営業・生産技術・品質保証など全部門でAI活用が本格化。従業員一人ひとりが「本来やるべき仕事」に集中でき...
木内建設株式会社 建築部業務支援課 磯﨑艶子様
第3回アシスタントコンテスト 東京会場 優勝インタビュー
建設現場で使用される塗料や接着剤、溶剤などには、SDSと呼ばれる安全データシートが添付されています。
そこに記載された情報を読み取り、リスクアセスメント帳票に落とし込む作業は、安全管理に欠かせない一方で、専門知識と手間のかかる業務でもあります。
木内建設株式会社(以下、木内建設)の磯﨑艶子さまが取り組んだのは、このSDS帳票作成をAIアシスタントとVBAで効率化する仕組みづくりでした。
従来は1枚あたり20分以上かかることもあった帳票作成を、5分以下に短縮。さらに、担当者による内容のばらつきも抑えられるようになりました。
この取り組みは、Lightblueが開催する「アシスタントコンテスト」で東京会場の優勝事例に選ばれました。木内建設は前年に続き、東京会場で2連覇を達成しています。
本記事では、磯﨑さまへのインタビューをもとに、建設現場における生成AI活用と、現場担当者が自らアシスタントを設計する意義を紹介します。
目次

Lightblueが主催するアシスタントコンテストは、企業の担当者が自ら開発したAIアシスタントを発表し、業務活用の実践事例を共有するイベントです。
第3回となる今回は、東京・大阪の2会場で開催され、計15社・55名以上が参加しました。
各社の担当者は、それぞれの現場課題に向き合い、自ら開発したアシスタントをプレゼンテーション形式で発表しました。
磯﨑さまが取り組んだのは、建設現場におけるSDSを活用したリスクアセスメント帳票の作成業務です。
SDSとは、安全データシートのことです。現場で使用する塗料・接着剤・溶剤などに添付される書類で、化学物質の危険性や取り扱い方法が記載されています。
この情報をもとに作成するリスクアセスメント帳票は、安全管理の根幹を担うものです。一方で、作成には時間も知識も求められます。
具体的には、以下のような課題がありました。
さらに、2026年には3,000種類を超える化学物質を対象とした法規制管理の義務化が控えており、帳票作成の負荷は今後さらに増すことが見込まれていました。
磯﨑さまは、当時の課題について次のように語ります。
「SDSという名前は社内の誰もが知っている。でも、現場でどう使うべきか、正確に理解している人は意外と少ないのが現状です」

多くの企業では、AIツールをDX部門や経営企画室が主導して展開します。現場の担当者は、用意されたツールを使う側になることが少なくありません。
磯﨑さまの取り組みは、そこが大きく異なっていました。
「誰かに相談したというより、現場でずっと感じていた業務の重さを自分で解決しようと思って取り掛かりました」
SDS帳票作成では、単に書類の文字を読み取ればよいわけではありません。SDSに記載された情報のうち、どれをリスクアセスメントに反映すべきかを判断する必要があります。
その判断には、現場での業務理解が欠かせません。だからこそ、実際にその業務を知っている担当者がアシスタントを作ることに意味がありました。
磯﨑さまは、アシスタントづくりについて次のように話します。
「アシスタントを作るとき、その内容を知っている人じゃないとなかなか作るのが難しいと思います。知識がある人が作ることで、精度の高いものができます」
Lightblueが重視する「市民開発」、つまり現場担当者が自らアシスタントを構築できるという考え方が、実際の業務改善につながった事例といえます。
開発当初、磯﨑さまは2つのアシスタントを別々に設計していました。
ただ、実際に業務で使うには、もうひとつ大きな壁がありました。決まったExcelフォーマットに、必要な情報を正確に書き込む必要があったのです。
AIアシスタントは、SDSの内容を整理したり、必要な情報を抽出したりすることには向いています。一方で、指定されたExcelのセルへ正確に転記する処理は、AIだけでは扱いづらい場面がありました。
突破口になったのは、東京本店のメンバーへの相談でした。
「VBAを組み合わせてみてはどうか」というアドバイスを受け、AIアシスタントとVBAを組み合わせる構成に切り替えました。
完成した仕組みは、次の2段階です。
AIには情報の整理と判断を任せ、VBAにはExcelへの機械的な書き込みを任せる。この役割分担によって、帳票の自動作成が実現しました。

プロンプトの精度向上にも、複数のツールを使いながら試行錯誤しています。
磯﨑さまは、ツールの使い分けについて次のように振り返ります。
「どのツールが優れているというより、それぞれの強みを場面に応じて使い分けました」

完成したアシスタントの効果は、数字にもはっきり表れました。
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
| 帳票作成時間 | 1枚あたり20分以上 | 5分以下 |
| 作業負荷 | SDSを読み解きながら手作業で作成 | AIが情報を整理し、VBAがExcelへ転記 |
| 品質 | 担当者によって内容にばらつきが出る可能性 | 出力ルールに沿って品質を均一化 |
| 属人性 | SDS知識のある担当者に依存 | ガイドに沿って操作すれば作成可能 |
作業時間は75%以上削減されました。時間短縮に加えて、担当者によるばらつきを抑えられるようになったことも大きな成果です。
SDSの知識が浅い担当者でも、ガイドに沿って操作することで、一定の品質で帳票を作成できるようになりました。

磯﨑さまがこのアシスタントを設計するうえで一貫して意識していたのは、再現性でした。
「やり方さえわかれば誰でも同じものが作れる。そういう仕組みにしたかった」
2026年の法規制義務化に向けて、化学物質管理に関する帳票作成は、建設業界全体で重要性が高まっています。SDSの読み取り、リスクアセスメントへの反映、帳票作成までをいかに正確かつ効率的に進めるかは、多くの現場に共通する課題です。
今回の取り組みでは、AIアシスタントがSDS情報を整理し、VBAがExcelフォーマットへの転記を担いました。専門的な判断と機械的な処理を切り分けたことで、実務で使いやすい仕組みになっています。
磯﨑さまの事例が示しているのは、AI活用の出発点が必ずしもDX部門や専門部署である必要はない、ということです。
日々の業務を一番よく知る現場担当者が、「この作業をもっと正確に、もっと楽にできないか」と考え、自ら試してみる。その実践が、SDS帳票作成の効率化につながり、東京会場2連覇という結果にも結びつきました。
※本記事は第3回アシスタントコンテスト 東京会場の優勝者インタビューをもとに構成しています。