マイスターエンジニアリンググループ、生成AIエージェントサービス「Lightblue」を導入
現場主導のAI活用を推進、約200名規模で本格運用開始。順次グループ全体へ展開予定 東京大学発のAIスタートアップ・株式会社Lig...
生成AIを「導入して終わり」にしないための、実践型イベント
Lightblue Boot Camp in 鎌倉
企業で生成AIの導入が進む一方、多くの現場では「使われない」「業務に組み込まれない」「個人利用にとどまる」という課題に向き合う場として2026年3月6日〜7日に神奈川県鎌倉市・鎌倉プリンスホテルで開催されたLightblue主催のイベントです。参加企業は16社24名。製造業を中心に多様な業種のAI推進担当者が集まり、それぞれの課題と向き合いました。本記事では生成AI活用を推進する日立建機株式会社様によるセッション内容をお届けします。
建設機械メーカーの日立建機株式会社様(以下、日立建機)では、生成AIを活用して技術サポート業務の大幅な効率化を実現しています。年間40,000件に及ぶ問い合わせ対応において、AIを活用したナレッジ検索の仕組みを構築し、事例検索にかかる時間を約70%短縮しました。さらに、個別業務の改善を積み重ねることで、問い合わせ対応プロセス全体の最適化へとつなげています。本記事では、その具体的な取り組みと成果を紹介します。

登壇者:
・栗原亮氏(部品・サービスビジネスユニット カスタマーサポート事業部 ConSite開発推進部)
・家村美代子氏(ConSite開発推進部)
・齋藤信也氏(テクニカルサポート部 主任)
日立建機のテクニカルサポート部では、世界中の代理店から寄せられる技術問い合わせに対応しています。この問い合わせはFIR(Field Information Report)と呼ばれ、年間約40,000件、月に約3,000件が発生します。複雑なケースでは数十回のやり取りが必要になることもあり、対応には高度な知識と時間が求められていました。
こうした業務において重要になるのが、過去の類似事例の検索です。しかし、検索の精度やスピードは担当者の経験に大きく依存しており、経験の浅い社員ほど必要な情報にたどり着けないという課題がありました。その結果、検索に時間がかかり、対応品質にもばらつきが生じていました。
この課題に対して日立建機が取り組んだのが、FIR検索アシスタントの構築です。過去のFIRレポート数万件をAIのナレッジとして蓄積し、新しい問い合わせに対して関連情報を自動的に提示する仕組みを整えました。
AIは問合せ内容に類似する過去事例内の情報を基に、端的な回答、推定原因、推奨アクション、参照ソースなどを提示します。これにより、担当者はゼロから情報を探す必要がなくなり、意思決定に集中できるようになりました。
その結果、事例検索にかかる時間は約70%短縮され、業務効率は大きく改善されました。
FIR検索アシスタントの導入は、単なる一業務の改善にとどまりませんでした。この取り組みを起点として、AI活用は他の業務領域へと広がっていきます。
具体的には、要約・翻訳アシスタントによって問い合わせ内容の理解を効率化し、社内マニュアル検索アシスタントで必要な情報へのアクセスを容易にし、回答文作成支援アシスタントによってアウトプットの作成を支援するなど、各工程ごとに最適化が進められました。
要約・翻訳で読む工程を約50%短縮し、検索で70%短縮し、回答作成で約50%短縮する。このように個別の業務を「点」として改善していくことで、結果的に問い合わせ対応プロセス全体という「線」の効率化が実現されました。
「最初から理想的な業務フローを設計するのではなく、目の前の業務改善を積み重ねた結果として全体最適につながった」という現場の実感は、多くの企業にとって示唆に富むものです。
日立建機のもう一つの特徴は、現場主導でAI活用が広がっている点です。最初は議事録アシスタントのような小さな取り組みから始まり、「どうやって作ったのか」という社内の関心が広がることで、利用者が自然に増えていきました。
その後、ユーザー会の開催やアシスタント作成共有が進み、現在では利用率は80%台に達していますものづくり企業として、自ら手を動かして改善していく文化と、AIを自分たちで活用・拡張できる仕組みがうまく噛み合った結果といえます。
「自分たちで作ることが好きな社員が多く、AIを活用して業務を改善していくことに抵抗がない。市民開発の考え方とも非常に相性が良い」というコメントからも、その文化がうかがえます。
日立建機の事例は、AI活用において重要なのが単なるツール導入ではなく、業務の中で使われる状態を作ることであることを示しています。個別の業務改善を積み重ねることで全体最適へとつなげるアプローチと、現場主体で活用を広げる仕組みの両方が揃うことで、AIは初めて組織に定着するということがわかります。
【レポート】Lightblue Boot Camp in 鎌倉
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