「日刊工業新聞」に清水建設様でのLightblue活用事例が掲載されました
日刊工業新聞の記事「清水建設、AIを多用途で活用 アシスタント利用4000人超 効率化・ノウハウ伝承」において弊社が提供する生成A...
ナカシャクリエイテブ株式会社(以下、ナカシャクリエイテブ)は、ライフライン事業者やインフラ事業者を支援するエネルギー&ネットワーク事業と交通インフラ事業、文化財の保存と活用として、デジタルアーカイブで地域の活性化に貢献するソーシャルイノベーション事業、電子化・システム化・DX推進をワンストップで支援し、情報資産の保存と活用で地域、組織の活性化に貢献するテクニカルソリューション事業の4事業を展開し、 「創造力・改善力・人間力」を原動力に、ライフラインの維持と文化の育成に貢献しています。
同社では、社員約250名を対象に法人向け生成AIアシスタント「Lightblue」を導入し、 わずか半年で約600件の独自アシスタントを構築するなど、全社的なAI活用体制を築き上げました。
今回は、AI導入の背景と、全社で浸透させるための取り組みについて、 全社の生産性向上をミッションに持つ生産技術部の松野竜一氏、 AI推進に向けた分科会のメンバーである交通部の松本基義氏にお話を伺いました。

「もともと当社では10年ほど前からRPAを導入し、自動化による改善を進めてきました。しかし、ルールベースの自動化では対応しきれず、“人の判断”が必要な業務が増えていました。一方で、熟練者のノウハウが属人化し、継承が難しい。この“危機感”がAI検討の出発点でした。ちょうど同じ頃、生成AIの技術が社会的に注目され始め、私たちの課題意識とAIの潮流が重なったんです。“もしかすると、これは改善活動をもう一段引き上げられるタイミングなのではないか”――。そう感じて、社内で本格的な調査を始めました」(松野氏)
「まずは“どの業務がAIで改善できるのか”を整理するところから始めました。すぐに導入を決めるのではなく、AIを活用するうえでの課題をひとつずつ洗い出しながら、社内で情報収集と検証を進めました。AIツールを調査するうえで気になったのは、どこまで業務に踏み込めるかという点です。 生成AIは非常に魅力的ですが、“完全ではない”という前提を理解していないと、 想定外の誤回答や使われなくなるリスクがあります。そこで、まず“どう付き合えば成果を出せるのか”という要領をつかむことを意識しました」(松野氏)
「はい。やはり最初は“誤った回答を出すのではないか”“本当に業務で使えるのか”という不安もありました。ただ、実際に触ってみることで少しずつ“AIとうまく付き合う感覚”がつかめてきました。 完全なものを求めすぎず、AIの回答を自分で見極める力を持つ――その要領さえ分かれば、AIは業務改善の強力なパートナーになると感じました。この“使いながら理解していくプロセス”こそが、私たちにとって大きな転換点でした」(松野氏)
「複数ツールを試しましたが、長文資料を扱えなかったり、外部情報を混ぜて誤答したりと、現場では使いにくいものが多かったんです。 その点、LightblueはRAG構成により自社データを根拠に回答できる信頼性を持っていました。 誤回答を“ゼロにする”のではなく、“なぜその答えになったかを追える”ことが重要だと感じました。 そうした仕組みが、現場で安心して使える理由になりました」(松野氏)
「4社を比較しましたが、Lightblueは圧倒的に“現場目線”でした。明瞭な課金形態なので全社員に展開しやすく、大容量ファイルにも対応。 さらに参照元ページへのリンク精度が高く、“どの情報を根拠に答えたか”を確認できる。 現場にとってブラックボックスではなく、答えの根拠が見えること。それがLightblueを選んだ一番の理由です」(松野氏)

「弊社には、TPS(トヨタ生産方式)をベースにした“全員で改善する文化”として、NPS(ナカシャ・プロフィット・システム)と言う改善活動が根づいています。日常的に一人ひとりが改善テーマを持ち、現場主導の改善を積み上げていく、そうした活動を長年続けてきたことで、“自分たちで変える”という意識が全社に浸透していました。RPAを導入したときも全社一斉に進め、結果的に高い効果が得られた経験があります。そのため、AIについても“特定の部署だけが使うツール”ではなく、全員が触れてこそ意味があると考えました。こうした改善文化があるからこそ、AIも全員で活用を進めるというのは自然な判断でした」(松野氏)
「各部門から選出されたメンバーが“AI推進リーダー”となる分科会を設けました。AIリテラシー共有からアシスタント開発、効果測定までを一気通貫で運営。現場の課題を拾い、試して、形にする――この“試行と共有の場”が社内の土台になりました」(松野氏)
「分科会という枠があることで、“勝手にAIを触っている”ではなく“公式の活動”として理解されました。メンバーが部署に戻って教えることで、社内のAIリーダーが自然に増えました」(松本氏)
「あえて厳密なルールを作らず、まずは自由に触ってもらいました。
セキュリティだけはガイドラインを設け、それ以外は各部門に裁量を委ねた。
結果として、半年で約600件のアシスタントが生まれ、利用率も80%を超えました」(松野氏)

「総務の社内規定検索、ISO関連の対応、改善ノウハウ共有、議事録作成など幅広く使われています。Lightblueを含めたAI活用プロジェクト全体を通じて、約半年で3,944時間の業務削減を実現しました」(松野氏)
「特にPython自動生成アシスタントは、非エンジニアにも好評です。」(松本氏)
「 AIを“使うツール”ではなく、“業務に溶け込む存在”にしていきたいですね。作る人と使う人の両輪で、実務に根ざしたAI活用を進めていきます」(松野氏)
「今後は、分科会を通じて現場からの応用例をさらに広げていきたいと思います。たとえば電子工作や図面解析など、既に小さな試みが生まれていますが、そうした“やってみる”姿勢を横展開して、もっと多様な業務領域に活かしていきたいですね。現場発のアイデアが社内全体の改善につながるよう、分科会メンバーとしてチャレンジを続けていきます」(松本氏)
「AI導入でよくあるのが、“ユースケースを整理してから始めよう”という姿勢です。でも、ユースケースはやりながらでないと固まらない。想定だけでは見えない課題も、実際に使って初めて分かるので足踏みしていても仕方ない。早く始めてよかったと今は思います」(松野氏)
「AI導入の成否を分けるのは、ツールよりも“伴走の仕組み”です。分科会のように試行錯誤を支える場があれば、企業の文化としてAIが根づくと思います」(松野氏)
属人化やナレッジ継承という長年の課題に向き合い、全社員導入という思い切った決断を下したナカシャクリエイテブ。その背景には、「まずはやってみる」という前向きな文化と、分科会による支え合いの仕組みがありました。
新しい技術を取り入れること以上に印象的だったのは、現場の一人ひとりが自ら考え、工夫しながら活用を進めている点です。改善の積み重ねを大切にしてきた同社だからこそ、AIを“現場の相棒”として自然に受け入れられたのだと感じます。
試行錯誤の中から自分たちなりの使い方を見出し、変化を前向きに楽しむ。その姿勢こそが、これからのDXのあり方を示しているように思います。
| 導入企業: | ナカシャクリエイテブ株式会社 |
| 導入時期: | 2025年3月 |
| 導入規模: | 100-500名規模 |
| 課題: | 熟練者のノウハウが属人化し、ナレッジ継承が難しくなっていた RPAでは対応しきれない「判断を伴う業務」が増加していた AI導入に対する不安や、活用方法の整理が進んでいなかった |
| 導入効果: | 全社員が利用し、半年で約600件の独自アシスタントを構築 AIプロジェクト全体で約3,900時間の業務削減を実現し、現場発の改善活動が加速 分科会による伴走体制で、AI活用が自然に定着する仕組みを構築 |
※本事例は2025年10月時点の情報に基づいています。