第1回 エグゼクティブ向け Generative AI 朝食会を開催しました【セミナーレポート】

これまで、AI分野で多数の開発実績を持ち、独自の大規模言語モデル(LLM)を有するLightblueは、各企業との対話を通じた生成AIの現場への実装を加速させるべく、日本を代表する企業のエグゼクティブをお招きして、朝食会を開催しています。

Lightblueは、生成AI導入・活用を推進する企業様にワークショップの提供だけでなく課題の特定・LLMを用いた解決方法のディスカッション、生成AIの社内ツール開発など多角的に生成AI活用のファーストステップを伴走してきました。

今回は、第一回 エグゼクティブ向け Generative AI 朝食会の様子をお届けします。より経営に近い視点を持つ各社のエグゼクティブの皆様にお集まりいただき、生成AI・LLMのトレンド・各社の事例・経営視点で生成AI・LLM導入を成功に導くポイントを講演、さらにネットワーキングとして、各社の課題についてディスカッションしました。

登壇者
園田 亜斗夢(主催)
株式会社Lightblue 代表取締役
東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。AIの社会実装、レコメンダーシステムの研究を行う。2018年にLightblueを設立。

小澤 健祐 氏(ゲスト)
AINOW編集長 / 生成AI活用普及協会協議員
「人間とAIが共存する社会をつくる」がビジョン。ディップが運営するAI専門メディア AINOW編集長を務める。 一般社団法人生成AI活用普及協会 協議員。書籍「生成AI導入の教科書」。1000本以上のAI関連記事を執筆。 その他、AI領域で幅広く活動。

10%程度にとどまる生成AIの利用率 |「使うAI」としての生成AIの本質

小澤氏のパートでは、生成AIの定義から始まり、生成AIの「使うAI」としてのの本質が説明されました。

現在、生成AIの業務活用率は低く、2023年6月時点でも9.1%にとどまり、2024年4月でも大きな変化がないのが現状です。

以前のAI技術は、「作るAI」という側面が強いのが特徴でした。具体的には、各課題に対して専用のモデルを一から設計し、開発する必要があったのです。たとえば、音声認識や画像処理のためのAIを開発する場合、その特定の目的のためだけに最適化されたモデルを作成する必要がありました。この過程には、大量のデータ収集と処理、アルゴリズムのカスタマイズ、試行錯誤が必要とされていました。

しかし、今日の生成AIの台頭により、この風景は大きく変わりました。現在の生成AIは、「使うAI」としての特性を持っています。これは、事前に訓練された大規模なモデルを提供することで、ユーザーは複雑なプログラミングやモデル設計の知識がなくても、すぐにAIを利用開始できることを意味します。例えば、ChatGPTのようなモデルは、一般的な質問応答や文章生成にすぐ使えるように設計されており、ユーザーは登録するだけで使用を開始できます。

この変化の本質を理解することは、企業や組織にとって重要です。なぜなら、組織改革を通じて、これらの生成AIを活用することで、業務の効率化、新サービスの開発、顧客体験の向上などが可能になるからです。

組織変革からはじまる生成AI活用|キーワードは「泥臭さ」

次に、具体的な生成AIの導入ステップについて解説されました。生成AIの活用は、単に技術を導入するだけでなく、組織全体での理解と適用を深める「泥臭い」プロセスから始まります。「使うAI」としての生成AIを最大限に活用するには組織全体の枠組みを考えることが必要です。具体的には、全社横断的なチーム(自律分散型組織)を結成し、ボトムアップのアプローチで生成AIの利用を促進することが重要です。これにより、各部門が自身の業務においてAIをどのように活用できるかを理解し、積極的に取り組む文化を育てることができます。

また、生成AIが汎用的であるために、特定の課題に対する特化した活用は難しい面もあります。これを克服するためには、課題に根差した研修やワークショップを実施し、各部署がその技術を自部署の具体的な課題解決にどう生かすかの「成功体験」を作ることが欠かせません。この種の取り組みは、部門ごとのニーズに合わせた知識の提供と経験の積み重ねが鍵となります。

さらに、生成AIの活用をさらに進めるには、既存の業務ツールやデータベースとの連携を図ることも重要です。これにより、AIが日常の業務プロセスに無理なく組み込まれ、その効果を最大限に発揮することが可能になります。たとえば、顧客管理システムにAIを統合することで、顧客の行動パターンを解析し、よりパーソナライズされたサービスを提供できるようになります。

このように、生成AIの導入と活用は多角的なアプローチが必要であり、各ステップで具体的な計画と実行が求められます。全社的な取り組みとして、技術だけでなく文化的な変革も伴う必要があるため、持続的な努力と組織内の協力が不可欠です。この泥臭いプロセスを経て初めて、生成AIの真のポテンシャルを引き出し、組織全体の革新を実現することができるでしょう。

本朝食会は、クローズドな環境で同様の悩みを持つエグゼクティブ層とDXに関する課題を共有できる場となり、閉場間際まで活発な議論が交わされました。

Lightblueでは、定期的にセミナーを実施しています

朝食会の他にもLightblueでは毎月、技術トレンドや事例紹介、新製品のご案内など、異なるテーマでウェビナーを実施しています。ぜひ同僚の方やクライアント様とお誘い合わせの上、ご参加ください。