米国の建設業界は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が最も遅れていた分野でした。近年、作業員が現場で素早くツールを見つけるための画像認識ソフトウェアが導入されるなど、DXを推進する動きが活発化しています。IoTセンサーやカメラを利用して、AIとコンピュータービジョンで建設現場を可視化する試みもはじまっています。
AIとコンピュータービジョンを利用して、カメラ映像でリアルタイムに建設現場を監視することで、建設現場の進行状況が簡単に把握できます。現場管理者は、衝突の可能性などの潜在的なリスクを特定して、事故が発生する前にオペレーターに警告したり、機械自体を即時停止させることが可能になります。作業員が安全装備を着用していない、危険な機械の近くで作業しているなど、事故につながる可能性が高い状況をすぐに確認することができます。
IoTセンサーとカメラを利用して、大型トラックとすべての移動車両の位置を追跡し、運搬ルートと予測されるリスクをわかりやすく可視化することも可能です。現場作業員に、事前にトラックの到着を通知して準備させるなど、建設プロセスを効率化し生産性を高めることにもつながります。AIを利用して、機械のオペレーター業務をサポートすることで、重機の使用を大幅に簡素化できる可能性もあります。
Suffolkのプロジェクトは、AIとコンピュータビジョンによる建設現場の可視化、リスク予測、効率化の可能性を示しています。米国ではすでに、Suffolkを含む約20社の建設会社が、AIの利用を含む様々な建設現場のDX化を加速させています。
人材不足と低い生産性に悩む日本の建設業界にとっても、労災事故の防止は大変重要な課題です。AIとコンピュータビジョンで建設現場をDX化し、事故の少ない安全な労働環境を実現することは、建設業界に求められている働き方改革と言えます。
参考:AI in construction industry could help preventing accidents on a workplace